「食事制限のみのダイエットは大多数には効果なし」米UCLAで衝撃のレポート
2007年04月07日 11:00
【ScienceDaily】が報じたところによると、アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)は学術誌「American Psychologist」4月号の中で、「ダイエット(食事の量や種類を制限すること)に長期的な効果はあまりない。体重の減少はあるかもしれないがほとんどの人はじきに元に戻ってしまう」という長期的な研究調査による結果を報告した。アメリカでは1980年から2000年の間に、肥満と判断される人口数が15%から31%へと倍増していることもあり、肥満やダイエットが非常に問題視されているだけに、気になる話として注目を集めている。
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●ダイエットは効果なし、どころか反作用を……
レポートによるとUCLAの心理学助教授であり今回のレポートの筆者でもあるTraci Mann氏は、ダイエットによってはじめのうちは体重の5~10%を減らすことができるだろうとした上で、「研究対象となった人の大部分が体重が元に戻るだけではなく、さらに増えてしまうという結果が出た」と報告している。ダイエットの成果が持続しているのはわずかな数だとのこと。
助教授は31もの研究対象となるダイエット法についてリサーチを重ねた上で、「結局ダイエットで何か変化があったのでしょうか。2年から5年もの調査の結局、何もしなかった方が健康にも良かったという結論が出てしまった」と語っている。「何しろダイエットを試みてもそのままでも体重は変わらなかったし、その上体重の減少とリバウンドによる体の消耗がなかったとなれば、ダイエットそのものをしない方が良いという結論がでるのですから」。
調査結果では、ダイエットによって多くの人が5~10%の体重を減らすことができる。しかしそれらのうち1/3から2/3の人が、4年から5年以内に体重が元に戻るどころかリバウンドし、より体重を増やしてしまうのだという。しかもかなり大規模に。例えばあるダイエット法では、この方法で減量した人たちの半数が、5年後には体重を以前の11ポンド(約5キロ)以上増やしていたという。
さらに助教授は、今回の調査結果について「被験者に電話やメールで体重を報告してもらう形をとってはいるが、あるダイエット法による追跡調査では回答率が50%になっている」ことや「回答してくれた体重そのものが過少申告されている可能性が多分にある」ことを指摘、実際の結果が今回発表したよりもさらに問題視されるような結果の可能性もありうる(つまり見得をはっている)と言及している。
●リバウンドの問題点や国への施策への忠告
レポートでは減量とリバウンドを繰り返すことで、(完全に立証されたわけではないと付け加えた上で)心筋梗塞などの血管系の問題や脳卒中、糖尿病、免疫機能の低下などをもたらしうるとして、警告を発している。
さらにアメリカにおける保険制度でダイエット支援として資金援助を行うプログラムがあることについて、「ダイエットはあまりにも効果が薄い。それどころかリバウンドのことも考えれば問題点が多すぎる」とし、これを減らす、あるいは止めるよう助言している。「ダイエットを促進しても結局多くの人がリバウンドして体重は元に戻ってしまう。それを繰り返すと健康そのものにも悪影響を及ぼす。そのような効果をもたらすダイエットに、資金援助をするべきではない」という主張だ。
●ダイエットがダメなら何をすれば?
同記事では「ダイエットがダメならどうすればいいのか」という問いに、「適度に食べて定期的に運動するべし」という推論を持ち出している。「今回の主要調査目的ではありませんでしたが」とした上で助教授は「運動を多用した人がもっとも減量した状態を保っている」と語っている。
助教授も今後の研究課題について「単に運動をしただけの人と、ダイエットと運動の両方を兼ねて行った人では体重軽減の効果はどう違うのか、それを研究してみたい」とし、肥満解消とダイエット、運動の関係についての調査に興味を持っているとコメントしている。
日本でも「メタボリック症候群」という言葉がここ数年急速に広まり、警告が発せられている。果たして今回の調査結果が日本のダイエットの風潮にどのような影響を及ぼすのか、注目したいところだ。
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